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感じる心を耕す時間

都内の保育園での美術の時間。

 

初めて会う子ども達は、少し緊張気味。

「ボクやらない」と席を離れていく子もいます。

絵の具ならみんな興味持つだろう、と

安易に考えていた自分にハッとさせられます。

 

まずは何かを描くというよりも

絵の具を探求してみよう。

 

ぽってりと盛り上がる絵の具。

ゆっくりと流れて混ざる色。

絵の具の上に絵の具を載せてみる。

 

青と黄色を混ぜると緑になります。とか

筆の使い方を教えるよりもまず

心を動かすことが大事。

 

「お!」「おもしろい!」「きれい✨」などなどが

「なんでだ?」「どうなるんだ?」「こうしてみよう」になり

いろいろやってみて確かめる。

自分の中から湧いてくるものは、心に刻まれる。

 

今は感じる心を耕す時間だと思っています。

そこをすっ飛ばしては花も実もなりません。

たくさん心を動かして耕しましょう。

 

それぞれの中で何が起きているのでしょう?

 

ゆ~くり流れるえのぐをじーーーっと見つめる。

 

画面の中の絵の具のたまったところから

スプーンですくって別の場所に絵の具を移動させる。

 

隣で赤の世界が繰り広げられてても

私は黄色と青でつくった緑の世界で満たされている。

 

という感じでしょうか。

 

 

 

「みてみて!」

不思議な形が生まれたね。

いろいろなものが見えてくる。

 

何かの形が上手く描けるよりも

ほかの誰とも同じではない、わけのわからない魅力的な形を

自分が生み出したことがうれしい!この表情。

 

偶然生まれたものだとしても

色を選んで、手を動かして、いい!って思って手を止める

自分だから生まれた表現です。

  

 

ずっと赤だけで遊ぶ人も。

「ばしゃーー!」効果音と、「こうして、あーなって…」

何か物語をつぶやきながら、筆で遊んでいました。

たくさんの色を使うことじゃなくて

別のことが彼の心を掴んでいたのでしょう。

 

感じること、面白いことはそれぞれなのは当たり前。

みんなと別のことを、面白いと思う自分でOK。

自分と違うことを、面白いと思うみんなもOK。

 

こうやって見てみると、子どもたちの行動には否定するべきことほとんどなく

何を見つめて、何を感じているのだろう?

と思って眺めていると、こちらも一緒にワクワクしてくる。

子どもたちをリスペクトする気持ちがわいてきます。