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子ども達の作り出すナニモノでもない色や形。その世界をただ感じ、受け止め、大切にする

子ども達の創り出すものは、名前がなくナニモノでもない。

自分の中から出てきた形。混沌とした中に何かを感じ、見い出している。

大人には見えない、子ども達の世界が、確かにそこにある。

 

こんにちは、アートあそびラボの苅部洋子(かるべようこ)です。

 

保育園でのアートあそびで、子ども達の作り出すものが

大人には、どうしても解らない事がよくあります。

年長さんの男の子。

ずっと「ダンゴムシなんだ~」と言いながら筆を動かし

「できた!ダンゴムシ!」とうれしそう。。。

 

私は「へえ、そうなんだね」と言いつつ、内心「???」

ダンゴムシが歩いた軌跡か?ダンゴムシがいそうな土か?

と、理屈で理解しようとするから、わからない。

 

年少さんの女の子。

「見て見て、できた!」と嬉しそうに見せに来た。

何かはわからないが、なんか素敵。

知らない人が見たら、ただの紙切れにテープを貼ったもの、かも。

 

 

しかし、彼女の作った作品を集めて眺めてみると、

繊細で柔らかい彼女の世界が見えてくる。

子ども達の前に素材を置くだけで

出来上がり見本も無い中で、自然に何かを作り始める。

大人には訳の解からないものを、楽しそうに、自由に生み出す子ども達。

彼らの作るものは、名前がなくナニモノでもないのかもしれません。

自分の中から出てきた形。混沌とした中に何かを感じ、見い出しています。

それが変幻自在に、ナニモノかに見えたりすることもある。

混沌とした中に、本人にしか見えないナニモノかだったりすることもあります。

 

大人は、ナニモノでもないものを作るのが苦手です。

「これは何」という理屈で理解しようとするから、苦労します。

子ども達は、ナニモノか、にとらわれていないから、自由で、創造的です。

大人には見えない、子ども達の世界が、確かにそこにあるのを感じます。

しかも、1人1人に違ったその子の世界が。

 

子ども達のうれしそうな、楽しそうな、誇らしげな表情を見ていると

ナニモノかを作れるか、が大事なのではなく

自分がグッとくる色や形を、自分の手が作り出す喜び。表現する喜びを感じます。

 

ついつい「これは何?」と聞いてしまいますが、

記号的なナニモノかに当てはめずに、

そこにある色や形が生み出すもの(その子の世界)を感じてみると、

「上手ね」という言葉では、言い表しきれない世界が見えてきます。

 

たとえ理解できなくても、その子の世界を、否定や評価することなく、

ただ感じて受け止め、大切にしていきたいなあ、と思います。